お寺の庫裡改築工事の報告です。

京都の由緒あるお寺の庫裡改築工事の中間報告です。
1期工事の養生工事、解体工事がやっと完了しました。
築後254年の新築当初の構造体は見事に頑丈そのものでした。さすがにホレボレする仕事ぶりです。
しかし、昭和8年に改築工事をされた個所を解体してみますと、構造体、特に梁の掛け方が不安定な状態でしたので、檜の5寸角柱、小屋束、雲筋違いで補強しました。
これで一安心です。
又、白蟻の被害もかなりありましたので、柱脚部の補修や補強、大引きの取り替え、
床束の取り替えを行いました。

コンクリート基礎がありません。柱の柱脚部は御影石の礎石です。
土台もありません。大引きが土台や根ガラミの役目をしています。

現在の新耐震設計の住宅と比較しますと、伝統工法の住宅が決して良くないとは言い切れません。コンクリートの基礎なんて100年ももちません。
筋違いもありません。太い檜の芯持ち材、太い梁、太いゴロンボ梁や牛梁。
これで254年も今日までビクトモせずに建っていることに、本当に昔の工人達の経験と技には敬服します。
今回の工事はほとんどが無垢材を使用します。新建材はほとんど使用しません。
ですから、檜や杉材も現場で鉋かけの毎日です。

現場の一コマを紹介させて頂きます。

着工前のLDKとなる個所です。


工事着工前のお清めをして頂きました。
いよいよ着工です。


養生工事も終わり、解体工事の途中です。
早速白蟻点検も行いました。
中央に見えるコンクリートは昭和8年の時に造られた床下食料保存庫です。
無筋コンクリートでしたが、川砂と砂利で出来ていまして、解体するのに一苦労でした。


やっと、床組みが出来ました。


LDKの天井高さが5mになりますので、足場組が必要です。
天井を高くしたのは、既存の牛梁の末口(丸太の端の直径)が2尺5寸(直径75cm)以上あります。
真ん中の太い個所では1.5m以上の直径となります。
この太い梁を化粧とする為です。
今でも壮観です。


新設の柱は檜の5寸角、敷居、鴨居、などは全て無垢材を使用しますので、
大工さんが現場で鉋かけをしています。大工さんの腕の見せ所です。
忘れていた、檜や杉の香が漂っています。
(一版住宅の柱の大きさは3.5寸角・10.5cmです。
  今回の柱の大きさは5寸角・15cmです)


搬入した材料の一部です。柱は檜の5寸角です。
下に積み上げているのが、根太材です。根太は普通松材で大きさが45mm角ですが、
今回は檜の芯持ち材で大きさは60mm角です。
床組みだけでもビクトモしません。


昭和8年の改築工事の補強個所です。大きな梁を受ける柱が半割の柱でしたので、
檜芯持ち5寸角3方化粧柱2本の補強と上部梁の小屋束の補強をするところです。

現場の清掃や片づけも気を抜かずに現場っています。