正倉院正倉整備工事第4回現場見学会

昨日、奈良東大寺の「正倉院正倉整備工事第4回現場見学会」に行きました。
建物の構造体の補強も大変ですが、瓦の葺き替え工事中の状況を見まして、驚きました。
天平時代〜大正時代までの瓦の一枚づつを選別、打音検査で再使用していました。
新しい瓦はひっかけ釘止めですが、古い瓦は土居葺きで行われていました。
平瓦約21,200枚の内、約5,100枚(全体の21%)を、軒平瓦380枚の内、
約190枚(全体の50%)を使用しているとの事で、
瓦の葺き替えは約35,400枚との事でした。
過去の補修事例を見ていますと、どうも大正時代の工事が杜撰な様に思えました。
建物の内部の補修で5寸釘ぐらいを打ち込んでいます。それも杜撰ですが、その釘頭に
カナズチのたたいた跡がくっきりと残っていました。ちょっと当て木等の配慮があればよいのですが、残念でした。この事を係員に聞くとやはり、そこらじゅうにたたいた跡があるとの事でした。すでにこの時代は木組みが伝承されていない事がわかります。


宮内庁正倉院事務所からの連絡がありました。


正倉院の工事中の見学ルートです。


正倉院を覆う仮設の建物です。凄い費用ですね。


あまりにも有名な工法です。


瓦の一枚づつにナンバリングされていました。(各時代毎に)
色々な検査の結果、再使用となった瓦です。


新設の瓦は西面と北面。再使用の瓦は東面と南面に使い分けされていました。


瓦葺きの下地です。この下地の決定でご苦労があったと思います。

瓦を見ますと現在も昔も同じように見えますが、現在の瓦は重さが違うようです。
現代製法瓦の方が、制作時に荒土を真空状態にするため、密度が高くなり、重くなっているとの事でした。

次回の公開は平成26年11月の予定でこれが最後となります。